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私の研究は「舌」で行います。
舌は皮膚感覚より繊細で具体的です。
液体や紛をなめると最初は複雑な味ですが、
慣れると成分の種類と配合量がわかるようになります。
舌がビリビリしびれたり、気分が悪くなることもありますが、
それ以上に得られるものが大きい。

理論書には「こういう時は右に行け」と書いてあるのに、
わたしの舌は「左に行け」と反応することがあります。
両方の商品を作って比べてみると、
舌感覚を優先したときのほうがお客様から好評価のことが多いです。

化粧品については、手に出してぺろっとなめます。
ただなめるのではなく味をちゃんと確かめます。
化粧品の感触と味。
肌と舌におぼえさせるうちに独自の評価基準ができあがってきます。
この評価基準こそが自社製品の品質そのものです。

舌で確かめるのと同じ感覚で、自分自身の肌で実験を行います。
自らアレルギー食品を食べて肌アレを発生させた後、ローションを自作して、
何日間でよくなるのかを観察します。

自らタバコを大量に吸って、
「タバコと肌くすみ」の因果関係を調べたりします。
肌のくすみを7日間のファスティングで解消させたりします。
市販サプリメントは通常の3倍以上を摂りいれて、効果を確かめます。

1年間ランニングを続けて、
お肌と体がどう変わるかという過酷な実験もやります。
自分でも「ここまでやるか?」と思うことがありますが、
やめたいと思ったことは一度もありません。

美容の世界は、『結果』が先で『理論』が後。
だから、自らを実験台にして思考錯誤をくり返すのがわたしの研究スタンスです。
多数の研究者からは非常識といわれるかもしれませんが関係ありません。
わたしにとって大切なことは目の前のお客様を納得させること。
結果を出すことだけを考えて、今日も研究に没頭しています。